赤外線アレイセンサ(AMG8833)を使って、非接触体温計に挑戦 ~実験編~

前回、「赤外線アレイセンサ(AMG8833)を使って、非接触体温計に挑戦 ~前編~」で、赤外線アレイセンサ(AMG8833)で、温度データを取得して、サーモグラフィに表示するところまで行いました。実際に測定してみると、温度データの補正が必要ということが分かり、サーモパイルについて調査し、補正方法を検討したので紹介します。

サーモパイルについて

非接触温度計に欠かせないセンサが「サーモパイル」です。

今回使用する「赤外線アレイセンサ(AMG8833)」もサーモパイル素子が使われています。実際にサーモパイルとは何なのかちょっと調べてみました。

サーモパイルとは、以下のような熱電対を多段接続した素子のことです。熱電対は、異なる金属を接続して熱をあたえると、その熱量に比例した電位差が発生します。この効果を利用することで温度を測定するのですが、1個の熱電対では小さな電位差しかないため、直列に多段接続して電位差を増幅して使われています。この温接点と冷接点の温度差に比例した電圧を使って、温度を測定します。

サーモパイルについて

実験1:サーミスタ温度と出力温度について

赤外線アレイセンサ(AMG8833)を使って、自分の体温(平熱36.4℃)を測定しながら、サーミスタ温度と出力温度を測定しました。グラフ内の凡例は、temp_min:センサ出力(8×8)の最小値、temp_max:センサ出力(8×8)の最大値、maxtemp_ave:センサ出力(8×8)最大値4つの平均値、thermistor_temp:センサ内部のサーミスタ温度です。結果としては、動作中にセンサ内のサーミスタ温度が2~4℃上昇に対して、出力温度が1~2℃程度低下していく傾向になるのが分かりました。

サーミスタ温度と出力温度の関係

つまり、起動直後に体温との差分量をオフセット値(固定値)として計算しても、動作中にサーミスタ温度が変化して、温度データがずれるので1~2℃ほどずれてしまいます。

対策としては、測定物の温度を一定にして、周囲温度を変化させながら、補正値を実測して体温の計算式に反映してやる必要がありそうです。

イメージこんな感じで、体温済の人(自分)で室内の温度を冷やしたり温めたりして、センサ温度(センサー内のサーミスタ温度)を変化させて補正値を実測する。その補正値を体温の計算式に反映して、出力温度のずれを補正します。

補正方法のイメージ図:センサ温度を変化させながら出力温度のずれを実測して補正値に反映

実験2:出力温度と測定距離について

測定物の距離に対しても、距離が離れると負の特性(出力温度が低下)があることが分かりました。距離と出力温度を測定して、補正値を算出して計算してやる必要があります。

対策としては、センサまでの距離を測定してブザーで知らせるか、顔認証の画サイズ(200×200pixel以上)などで、測定対象との距離をある程度一定に保ちながら、距離に対しての補正値を計算して、誤差を少なくする必要がありそうです。

上記、測定距離と、周辺温度に対しての補正を行うことで、±0.5℃程度の誤差率に抑えることができれば、出勤時に高熱の人を選別することは可能な気がしますが・・・・

もうちょっと細かいデータを取って悩んでみます。

少し悩んだのですが、距離を測定して補正値を算出することも考えたのですが、補正式に係数掛けではちょっと誤差が大きくなるなりそうで・・・

ここは、ある程度決まった位置でブザーを鳴らして、止まってもらってから、停止して測定する方が精度が出るような気がしてきました。40~50cmの距離だとある程度の誤差範囲内にあさまる気がします。(距離を計測して補正値を割り出すのが良いのかもしれませんが、一旦、距離の補正は置いときます)

世の中の製品って、どうやって合わせこんでいるんでしょう?

と疑問に思ったことを考えると楽しくなってきますね。

コロナ禍で暗い話ばかりですが、前を向いて頑張っていきましょう!

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